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新潟地方裁判所 平成6年(わ)342号 判決

本店の所在地

新潟県十日町市春日一八三番地一

有限会社十日町システムハウス

右代表取締役

西野昭

本籍

新潟県十日町市大字北新田五二四番地

住所

同市妻有町西三丁目二番地一五

会社役員

西野昭

昭和二〇年五月二四日生

右両名に対する各法人税法違反被告事件について、当裁判所は、検察官鈴木義光出席の上審理し、次のとおり判決する。

主文

被告人有限会社十日町システムハウスを罰金二二〇〇万円に、被告人西野昭を懲役一年二月に処する。

被告人西野昭に対し、この裁判の確定した日から三年間その刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人有限会社十日町システムハウス(以下「被告会社」という。)は、新潟県十日町市春日一八三番地一に本店を置き、電子計算機のシステム分析及びプログラム等のソフトウェアの開発並びに指導等の事業を営む会社であり、被告人西野昭は、同会社の代表取締役としてその業務全般を統括している者であるが、同被告人は、同会社の業務に関し、その法人税を免れようと企て、売上げの一部を除外し、あるいは収益の一部を同被告人やその家族名義の預金口座に預け入れるなどの不正な方法により所得を秘匿した上、

第一  平成二年一月二一日から同三年一月二〇日までの事業年度における同会社の実際所得金額が一億〇四四五万三四一〇円(別紙(1)修正損益計算書参照)もあったのに、同年三月二〇日、新潟県十日町市子三七七番地の一所在の十日町税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が一五九二万八六〇七円で、これに対する法人税額が四四〇万八八〇〇円である旨記載した内容虚偽の法人税確定申告書を提出し、そのまま法定の納期限を徒過させ、もって、不正の行為により同会社の右事業年度における正規の法人税額三九八一万八八〇〇円と右申告税額との差額三五四一万円(別紙(4)税額計算書参照)を免れ、

第二  同三年一月二一日から同四年一月二〇日までの事業年度における同会社の実際所得金額が九一三八万三四〇五円(別紙(2)修正損益計算書参照)もあったのに、同年三月一九日、前記十日町税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が二二五四万八六〇六円で、これに対する法人税額が六一五万五六〇〇円である旨記載した内容虚偽の法人税確定申告書を提出し、そのまま法定の納期限を徒過させ、もって、不正の行為により同会社の事業年度における正規の法人税額三一九六万八八〇〇円と右申告税額との差額二五八一万三二〇〇円(別紙(5)税額計算書参照)を免れ、

第三  同四年一月二一日から同五年一月二〇日までの事業年度における同会社の実際所得金額が七一八二万三二七四円(別紙(3)修正損益計算書参照)もあったのに、同年三月一九日、前記十日町税務署において、同税務署長に対しその所得金額が一七四四万八〇二六円で、これに対する法人税額が四七一万八五〇〇円である旨記載した内容虚偽の法人税確定申告書を提出し、そのまま法定の納期限を徒過させ、もって、不正の行為により同会社の右事業年度における正規の法人税額二五一〇万九一〇〇円と右申告税額との差額二〇三九万〇六〇〇円(別紙(6)税額計算書参照)を免れたものである。

(証拠の標目)

判示全事実につき

一  被告人西野昭の当公判廷における供述

一  被告人西野昭の検察官(二通)に対する各供述調書及び大蔵事務官に対する各質問てん末書(一三通)

一  藤田勲及び小谷功の大蔵事務官に対する各質問てん末書

一  十日町税務署長山本正美作成の課税状況の回答書

一  検察事務官作成の捜査報告書二通

一  大蔵事務官作成の売上高調査書、材料仕入高調査書、報酬給料調査書、支払手数料調査書、減価償却費調査書、受取利息調査書、減価償却超過額の当期認容額調査書及び事業税認定損調査書

一  登記官作成の登記簿謄本

判示第一、第三の各事実につき

一  大蔵事務官作成の期首材料棚卸高調査書

判示第一の事実につき

一  大蔵事務官作成の脱税額計算書(甲4)

判示第二、第三の各事実につき

一  大蔵事務官作成の減価償却の償却超過額調査書

判示第二の事実につき

一  大蔵事務官作成の脱税額計算書(甲5)及び期末材料棚卸高調査書

判示第三の事実につき

一  大蔵事務官作成の脱税額計算書(甲6)、法定福利費調査書、雑収入調査書及び雑損失調査書

(法令の適用)

罰条 判示各所為につき

被告会社の関係

法人税法一六四条一項、一五九条一項

被告人西野の関係

法人税法一五九条一項

刑種の選択 被告人西野につき

いずれも懲役刑を選択

併合罪の処理 被告会社につき

刑法四五条前段、四八条二項(各罪の罰金額を合算)

被告人西野につき

刑法四五条前段、四七条本文、一〇条(犯情の最も重い判示第一の罪の刑に加重)

刑の執行猶予 被告人西野につき

刑法二五条一項

よって、主文のとおり判決する。

(裁判官 新田誠志)

別紙(1) 修正損益計算書

別紙(2) 修正損益計算書

別紙(3) 修正損益計算書

別紙(4) 税額計算書

別紙(5) 税額計算書

別紙(6) 税額計算書

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